馬券の期待値とは?
そもそも期待値って何なのさ?
期待値はパチプロの間では当たり前に使われている言葉ですが、実は競馬の世界でも期待値なるものが存在しています。
期待値を一言で言うならば、読んで字のごとく「どのくらいの損益が出るか」のベースとなる数字です。
そして巷では「期待値の高い馬券を買えば勝てる」と多くの人が口にしていますが、理屈ではその通りであっても、果たして本当に期待値の意味を理解しているのかどうか、そして実際に競馬でプラスになっているのかどうかは正直わかりません。
ところでこの期待値は1がボーダーラインとなります。競馬ならば回収率100%の線ですね。
となれば理論上、競馬での収支をプラスにするためには期待値が1.1以上の馬券を買い続ける必要があるのですが、この計算がどれだけシビアで難しいことなのかをざっくりとお話ししたいと思います。
パチンコの場合
パチプロとして20年ほど生活していた自分は断言しますが、パチンコは期待値なしに勝つことは100%不可能なギャンブルと言えます。(デジパチの場合)
攻略ネタでもあれば話は変わりますけど、その辺の話はさておき、パチンコとは期待値が1=ボーダーラインを超える台を打ち続ければ誰でも簡単に勝ててしまう、極めて単純明解なギャンブルです。
なぜならば、パチンコの場合は期待値を計算するのがメチャクチャ簡単だからなんです。それこそ算数に毛が生えたレベルで出せるものですから。
だからパチプロはプロ馬券師よりもたくさん存在する(していた)んです(笑)
さて、なんでパチンコの期待値はそんなにも簡単に計算できるのか、それはズバリ大当たり確率が決まっている=一定だからです。
さらに言えば、確変突入率と継続率も決まっていますし、そこから一回の大当たりで獲得できる平均出玉を予め計算し、そこら辺をチョチョイと計算機を叩いてやればボーダーラインはすぐに出せます。
そしてあとは、そのボーダーラインを超える台=優良台を探して撃ち続けるだけでOK、と。優良台見抜く力=釘読みといった最低限の技術は必要ですけどね。
馬券的中率を計算する
それではここで、馬券が当たる確率を計算してみましょう。(話を分かりやすくするため、単勝馬券を例にします)
10頭立てのレースの場合、単勝馬券が当たる確率はいついかなる時も1/10です。
この場合ですと、理論上では単勝オッズ11倍以上の馬券を買い続ければプラスになるんですが、実際問題、それで勝てるほど競馬は甘くありません。
そう、10頭立てのレースで単勝11倍以上の馬が1着なる確率は1/10以下になるからです。
その辺の細かい話はターゲットなりを使えば簡単に計算できるので割愛しますが、競馬の場合は大当たり確率が一定であっても、オッズという一定ではない変数が存在するので勝つのが難しいんです。
競馬は不確定要素が多すぎるギャンブル
オッズだけに限らず、競馬は不確定要素があまりにも多すぎるので、とてもじゃないですが正確な期待値は計算できません。出せたとしても「目安」程度のものが限度ではないでしょうか。(無論、この「目安」も大切ではありますが)
レース結果が出た後ならいくらでも計算はできますけど、そんなのは後の祭り。競馬はレースが終わってから馬券が買えるようなファンタジーな世界じゃありません。
それじゃどうやって正確な期待値を計算すればいいのか、これはもうパチンコで通用した算数レベルでは到底太刀打ちできないほどの頭脳が必要になってくるわけでして、本当の意味で期待値を出せる人って、多く見積もっても競馬ファンの千人に一人ぐらいしか存在しないと思います。
かくいう自分もアバウトな期待値は計算はできるつもりですが、パチンコのようにほぼ100%に近い期待値は計算できません(笑)
期待値の高い馬券=高配当馬券ではない
さて、ここで多くの競馬ファンが誤解しているのは、
オッズが高い=期待値が高い
ということです。
確かにオッズは期待値を計算する上で極めて重要な数字ですが、先にも話したように、このオッズというものは一定な数字ではなく、また、不特定多数の競馬ファンによって時系列で変化する数字なので、そう易々と期待値は出せません。
※払戻金の計算方法(JRA)
例えば同じ単勝3倍の馬券であっても、実際の期待値はまるで異なっているわけなんですが、この部分を理解している人はどれぐらいいるでしょうか?
仮に単勝3倍の馬が1着になる確率が常に1/3ならば期待値は1になりますが、その1着となる確率もまた一定ではないので、期待値=高配当と結論付けるのはとんでもない大間違いなんです。
期待値馬券は過去の必勝法!?
最近は競馬ファンの予想力がアップした表れなのか、「なんでこの馬が人気なの?」とか「思ったよりも配当が低いぞ?」といったケースに遭遇する機会が増えていますが、特に厄介なのは後者の方ではないでしょうか。
的中した馬券のオッズが思っていたよりも下がっていたら喜びも半減。何よりもその分回収率も下がってしまうわけでして、そうなると結果として「低い期待値の馬券を買っていた」ことになってしまいます。
それでもなお「期待値の高い馬券を買えば勝てる」ことになるかというと……ちょっと違いますよね。
もちろん、そのオッズが事前に想定した範囲ならばなんの問題もありませんし、そこまで計算して「期待値の高い馬券」を買っていたのであればその通りにはなるでしょう。
ただ、期待値至上主義だった元パチプロの自分から言わせてもらうと、
「馬券の期待値はそんな単純に出せるもんじゃねぇ!!」
というのが本音。競馬は、期待値至上主義で勝てるほど甘いギャンブルではないんです。
競馬予想のこれから
期待値の高い馬券を買って収支をプラスにする方法は、実はすでに攻略済みの公になってしまった必勝法なので、これから競馬で勝とうとするならば、期待値とはまた別なアプローチが必要になってくるように個人的には考えています。
もちろん期待値は期待値で重要なファクターであることに変わりはありませんが、これ一辺倒で勝てる時代はとうの昔に終わっている、最近は特にそう思うようになりました。
パチンコは機械相手のギャンブル、競馬は動物相手のギャンブルなので、何から何まで数字で一緒くたにするには相当無理があります。いや、一緒にできるシロモノではありません。
指数予想をしている自分が言うのもおかしな話ですが、期待値という言葉やイメージだけに捉われず、もっと競馬予想自体をシンプルに考えた方が、これからの競馬は良い結果を生むように考えています。